2022年12月屋久島の登山道整備　近自然工法　

サンカラ基金にご賛同いただきました皆さまからお預かりした基金の一部となる約120万円を屋久島の登山道整備に使用させていただきました。

今回の登山道整備には、北海道の「大雪山山守隊（やまもりたい）」の岡崎哲三氏をお招きし、屋久島のガイドをはじめ、登山道修復を学びたい有志が集まり、6日間にわたり講習が開かれました。白谷雲水峡で4日間、サンカラホテルのトレッキングコースで2日間、好天に恵まれ、登山道を修復することができました。

登山ブームを背景に山に入る人が増え、全国で登山道の崩壊が問題化しています。屋久島も例外ではなく、ここ数年の大雨の影響もあり、えぐれた登山道が目立つようになりました。登山道が荒れるとその脇を歩くようになり、周辺全体にダメージが広がっていきます。

岡崎氏による登山道整備は「近自然工法」と呼ばれる技法を用いて行われます。「近自然」とは「自然に近い工法」と「自然に近づける工法」を意味します。それまでの土木工事のような修復ではなく、その土地の自然の仕組みを学び、周辺にあるものを用いて、自然に近い施工を施します。崩壊する登山道とその周辺を正すことにより、周辺の生態系を自然に近づける（回復させる）、という工法です。

今回の施工で、白谷雲水峡の長年荒れていた「七本杉」と「くぐり杉」周辺の登山道、サンカラホテルのトレッキングコース２カ所を修復することができました。
釘やかすがいなどを一切使わず、出来上がった道は自然に溶け込み、実に美しい道となりました。

岡崎氏を屋久島にお招きするのは今回が3回目となります。
前2回は環境省と地元ガイドの努力により実現し、今回はサンカラ基金により実現しました。
今後もサンカラホテルは地元のガイドや有志の皆様が近自然工法の技術を習得し、屋久島の登山道がより歩きやすく、より魅力的なものになるよう支援を続けていく予定です。
屋久島を再訪の際はぜひ登山道にもご注目ください。

※岡崎哲三氏

2011年、山岳生態系の復元を目指す「合同会社 北海道山岳整備」を設立
2018年、山の道を守る活動を行なう「一般社団法人 大雪山・山守隊」を設立

自然に学び、環境や生態系を重視する工法を提唱、自治体や登山者と共に修復に励む。

「近自然工法という登山道整備を学んでいます。先生は自然。自然の中から構造を見出し、力学を理解し、ひたすらそれを真似ること。技術というより自然観察でした。
土木の教科書には載っていない考え方ですが、自然に近づくことができる発想だと感じています。自然を見続けた時、生態系という流れが見え、人がなすべき行動や役割も見えてくるようです。これからの山の在り方を考え続けたいと思います。

生態系の復元を目指して　https://sangakuseibi.jimdofree.com/

私たちは自然を観察し、自然の成り立ちを理解し, 生態系が復元していくための整備方法「近自然登山道工法」を提唱しています。